2.2.1 basiclineべーシック手順回線定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド
(5) 注意事項

(1) 機能

ベーシック手順端末,またはシステムと接続する回線を定義します。

(2) 定義条件

group文の下で,一つ以上のbasicline文を定義します。

configuration文のmax_HSClineオペランド,またはmax_NCSBlineオペランドの指定があるときに指定できます。

(3) 書き方

[図データ]

(4) オペランド

(a) name
ベーシック手順回線名称 ~<英数字>((8文字以内))

ベーシック手順の回線名称を指定します。ベーシック手順のAPIでのOPENパス名としても使用します。回線名称は,定義文の中で固有の値を指定します。

(b) number
ベーシック手順回線番号 ~<16進数>((00~03))

回線アダプタに接続するベーシック手順の回線番号を指定します。この回線番号は,ハードウェアの構成に合わせる必要があります。

(c) speed {1.2K|2.4K|4.8K|7.2K|9.6K|12K|14.4K|16K|19.2K|32K|48K|56K|64K}

ベーシック手順の回線の伝送速度(ビット/秒)を指定します。

NSCB手順の場合は,2.4K,4.8K,または9.6Kを指定できます。また,上記の1K(キロ)=1000の計算値です。

(d) auto_start {yes|no}

xnfstartコマンドでXNF/ASを開始したとき, basicline文で定義した回線を自動起動するかどうかを指定します。このオペランドは,auto_sと省略して指定することもできます。また,省略した場合はyesが仮定されます。

yes:
自動起動を行います。
no:
自動起動は行いません。使用する場合は, xnfonlineコマンドの入力が必要です。

xnfonlineコマンドを入力すると,xnfofflineコマンドを入力するまで自動起動の対象となります。詳細は,マニュアル「XNF/AS 解説・運用編」の「事前定義機能」を参照してください。

(e) switch_type {X21|V25bis}

HSC2手順回線で,インタフェースのタイプを指定します。このオペランドは,s_typeと省略して指定することもできます。また,省略した場合はX21が仮定されます。

X21:
回線交換網X.21インタフェースを使用します。
V25bis:
電話網V.25bisインタフェース(SYN同期)を使用します。
(f) modem_clock {synch_ST1|synch_ST2|asynch}

モデムのクロック特性を指定します。NCSB手順の場合は,synch_ST1またはsynch_ST2が指定できます。ST1/RTまたはST2/RT同期クロックを使用しないモデムの場合だけ,asynchを指定できます。物理インタフェースがX.21の場合は,必ずsynch_ST2を指定してください。

このオペランドは,m_clockと省略して指定することもできます。また,省略した場合はsynch_ST2が仮定されます。

synch_ST1:
同期モデム(ST1/RT方式)です。
両端の装置相互間で,データ転送のタイミングを取ります。モデムのクロックを使用します。
synch_ST2:
同期モデム(ST2/RT方式)です。
回線上の両端にあるモデム相互間で,データ転送のタイミングを取ります。モデムのクロックを使用します。
asynch:
非同期モデムです。両端の装置相互間で,データ転送のタイミングをとります。モデムのクロックは使用しません。
(g) RS_control {on_off|on_fixed}

HSC手順でのRS信号線の制御を指定します。ただし,X.21インタフェースの場合は,C信号の制御となります。

このオペランドは,RS_ctrと省略して指定することもできます。また,省略した場合はon_fixedが仮定されます。

on_off:
データ送信時にRS信号をオンに,送信完了時にオフにします。
on_fixed:
回線が次の場合に,RS信号をオンに固定します。
  • 専用回線(HSC1):回線がオープン中のとき
  • 公衆回線(HSC2):発着信後の回線が接続中のとき
(h) CDcheck {yes|no}

HSC手順で,相手局からの搬送波の検出信号(CD)のオフを確認する機能(cdcheck)を使用するかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

yes:
cdcheckを使用します。
no:
cdcheckを使用しません。
(i) CDcheck_time
CDオフ監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.4~102.0))《3.2》

HSC手順でCDcheckオペランドがyesの場合,CDオフを監視する時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。

このオペランドは,CD_timeと省略して指定することもできます。

(j) response_time
応答監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))《3.2》

HSC手順で,次の受信監視時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。0.0を指定した場合,監視はしません。

このオペランドは,resp_timeと省略して指定することもできます。

相手局と同じ受信監視時間を指定すると,コンテンションが発生したときに回復できなくなることがあります。監視時間の値は,非優先側の値を,優先側の値より大きくする必要があります。

(k) CRC {type1|type2}

HSC手順の場合,CRC(Cyclic Redundancy Check)の生成多項式を指定します。省略した場合はtype1が仮定されます。

type1:
X16+X15+X2+1
type2:
X16+X12+X5+1
(l) ENQ_retry
起動用ENQの再試行回数 ~<10進数>((0~255))《7》

HSC手順で,リンク確立に失敗した場合のリンク確立要求の再試行回数を指定します。255を指定すると,無限に再試行します。

(m) text_retry
テキスト送信時の再試行回数 ~<10進数>((0~255))《7》

HSC手順で,テキスト送受信の再試行回数を指定します。255を指定すると,無限に再試行します。このオペランドは,trと省略して指定することもできます。

再試行する契機を次に示します。

(n) text_WACK_retry
テキスト送信WACK受信時のENQ再試行回数 ~<10進数>((0~255))《15》

HSC手順で,テキスト送信に対してWACK応答があった場合,ENQ送信の再試行回数を指定します。255を指定すると,無限に再試行します。

このオペランドは,tWrと省略して指定することもできます。

(o) ENQ_WACK_retry
ENQ送信WACK受信時のENQ再試行回数 ~<10進数>((0~255))《15》

HSC手順で,起動用ENQに対してWACK応答があった場合,ENQ送信の再試行回数を指定します。255を指定すると,無限に再試行します。

このオペランドは,EWrと省略して指定することもできます。

(p) TTD_retry
TTD受信再試行回数 ~<10進数>((0~255))《15》

HSC手順で,TTDまたはABORT受信に対するNAK応答の送信再試行回数を指定します。255を指定すると,無限に再試行します。

(q) receive_ENQ_hold {use|not_use}

NCSB手順で,EOT・EOT受信待ちでのセレクションENQ受信時の動作を指定します。このオペランドは,r_E_hと省略して指定することもできます。また,省略した場合はnot_useが仮定されます。

use:
セレクションENQを保持し,上位APの指示でDLE・ACKを応答します。
not_use:
セレクションENQを破棄し,上位APの指示でセレクションENQの再送を待ちます。
(r) text_receive_time
テキスト受信完了監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))《80.0》

HSC手順で,テキストの受信完了を監視する時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。0.0を指定した場合は,無限に監視をします。次のことを確認してください。

このオペランドは,tr_timeと省略して指定することもできます。

(s) DR_on_check_time
DRオン監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))

次の時間を指定します。

ただし,HSC2手順でV.25bisインタフェースによる発信時には,次に示す監視時間ごとにこのオペランド値が適用されます。

また,HSC2手順でX.21インタフェースを使用している場合は,このオペランドは無効になります。

指定値は,0.4の倍数になるように大きく補正されます。0.0を指定した場合は,無限に監視をします。次のことを確認してください。

このオペランドは,DR_on_timeと省略して指定することもできます。デフォルト値を次に示します。

なお,このオペランドはXNF/AS/WAN Exを使用した場合にだけ有効です。XNF/AS/WANを使用した場合に,このオペランドを使用したときは,指定値は無効になります。

(t) DR_off_check_time
DRオフ監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))《text_receive_timeオペランド指定値》

HSC2手順でV.25bisインタフェースによる切断時に,モデムDR信号OFFを監視する時間(秒)を指定します。

指定値は,0.4の倍数になるように大きく補正されます。0.0を指定した場合は,無限に監視をします。次のことを確認してください。

このオペランドは,DR_off_timeと省略して指定することもできます。

なお,このオペランドはXNF/AS/WAN Exを使用した場合にだけ有効です。XNF/AS/WANを使用した場合に,このオペランドを使用したときは,指定値は無効になります。

(u) SYN_time
受信同期維持監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.4~102.0))《10.0》

HSC手順で,受信時の同期維持を監視する時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。

(v) text_send_time
テキスト送信完了監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))《80.0》

HSC手順で,テキストの送信完了を監視する時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。0.0を指定した場合,監視はしません。

このオペランドは,ts_timeと省略して指定することもできます。

(w) CS_time
CS信号監視時間 ~<小数点付き10進数>((0.4~102.0))《23.6》

HSC手順で,送信時のモデムCS信号ON,およびOFFを監視する時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。

(x) contention_ACK {wait|no_wait}

HSC手順で,自局が優先局の場合に起動ENQのコンテンションが発生したときの動作を指定します。このオペランドは,c_ACKと省略して指定することもできます。また,省略した場合はwaitが仮定されます。

wait:
非優先局からの応答を待ちます。応答監視時間以内に応答がない場合,起動ENQを再送します。
no_wait:
非優先局からの応答を待たないで起動ENQを再送します。
(y) receive_invalid_data {NAK|no_response}

HSC手順で,テキスト受信待ちで未定義データを受信した場合の動作を指定します。このオペランドは,r_i_dataと省略して指定することもできます。また,省略した場合はNAKが仮定されます。

NAK:
NAKを送信します。
no_response:
未定義データを破棄し,再度テキストを監視します。
(z) ACK_ENQ_skip {use|not_use}

HSC手順で,相手局からの起動ENQまたはテキスト受信に対する肯定応答を送信したあと,相手から受信したENQを1回読み飛ばすかどうかを指定します。このオペランドは,AE_skipと省略して指定することもできます。また,省略した場合はnot_useが仮定されます。

use:
受信ENQを破棄します。
not_use:
受信ENQを破棄しません。
(aa) contention_wait {use|not_use}

HSC手順で,自局が非優先局側の場合に,コンテンションが発生したときの動作を指定します。このオペランドは,c_waitと省略して指定することもできます。また,省略した場合はuseが仮定されます。

use:
起動ENQを待ちます。
not_use:
ENQ受信に対して,ACK0を応答します。
(ab) WACK_ENQ_delay_time
ENQ送信ディレイタイマ ~<小数点付き10進数>((0.0~102.0))《0.0》

HSC手順で,WACK受信に対してENQを送信するまでのディレイ時間(秒)を指定します。指定値は,0.4の倍数になるように大きく補整されます。

このオペランドは,WE_d_timeと省略して指定することもできます。

(ac) IDENQ_receive_EOT {invalid|ignore}

HSC2手順で,着呼後のENQまたはID・ENQ待ち状態でEOTを受信したときの動作を指定します。このオペランドは,IDENQ_EOTと省略して指定することもできます。また,省略した場合はinvalidが仮定されます。

invalid:
EOTを不正データ受信として扱います。
ignore:
EOTを読み捨てて,ENQまたはID・ENQを待ちます。
(ad) call_progress_signal_message {use|not_use}

HSC2手順で,回線交換網X.21インタフェースによる発信に対してコールプログレス信号を受信したときに,メッセージ(KANF23005-E)をsyslogファイルに出力するかどうかを指定します。このオペランドは,cps_msgと省略して指定することもできます。また,省略した場合はuseが仮定されます。

use:
コールプログレス信号受信のメッセージをsyslogファイルに出力します。
not_use:
コールプログレス信号受信のメッセージをsyslogファイルに出力しません。

not_useを指定した場合,障害解析で受信したコールプログレス信号を確認するために,回線トレースの採取,またはハードウェアエラーログの解析が必要になります。

(ae) line_sense_message {use|not_use}

HSC手順またはNCS-B手順で,障害発生時にLINEセンスメッセージ(KANF23004-E,またはKANF23104-E)をsyslogファイルに出力するかどうかを指定します。このオペランドは,ls_msgと省略して指定することもできます。また,省略した場合はuseが仮定されます。

use:
LINEセンスメッセージをsyslogファイルに出力します。
not_use:
LINEセンスメッセージをsyslogファイルに出力しません。

not_useを指定した場合,障害解析で回線アダプタから通知されたLINEセンスを確認するために,回線トレースの採取,またはハードウェアエラーログの解析が必要になります。

(5) 注意事項

次のオペランドは,上位APが通信を開始するとき,APからの指示で値が変更されることがあります。

response_time,ENQ_retry,text_retry,text_WACK_retry,ENQ_WACK_retry,およびTTD_retry