2.2.26 TPTCP_commonOSI拡張高信頼化機能用共通定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド
(5) 注意事項

(1) 機能

OSI拡張高信頼化機能で使用する共通情報を指定します。

(2) 定義条件

定義文全体に対して1回だけ定義します。

この定義は省略できます。

(3) 書き方

[図データ]

(4) オペランド

(a) server_id
サーバID ~<10進数>((1~65535))

パス接続重複チェック機能を使用する場合に,XNF/ASが動作するサーバごとに一意な値を指定します。必ずほかのサーバのserver_idオペランドで指定した値とは異なる値を指定してください。このオペランドを省略した場合,パス接続重複チェック機能は使用できません。

なお,VOS3 XNF/TCP仮想サーバ連携機能によるホスト間接続のサーバモードで動作するホストにサーバIDが指定されていることがあります。この場合,ホストのサーバIDとも重複しないように指定する必要があります。ホストとサーバにサーバIDを指定する構成例は,マニュアル「XNF/AS 解説・運用編」の「OSI拡張高信頼化機能を使用するときの注意事項」を参照してください。

(b) host_adaptor_listen {yes|no}

OSI拡張高信頼化機能でOSI拡張着呼デーモンを使用するかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。OSI拡張着呼デーモンは,スーパサーバinetdを経由しないで,TCPコネクションの着呼接続を行う機能です。詳細については,マニュアル「XNF/AS 解説・運用編」の「OSI拡張機能の環境設定と運用」を参照してください。

yes:
OSI拡張着呼デーモンを使用します。
no:
OSI拡張着呼デーモンを使用しません。
(c) host_adaptor_port
着呼用ポート番号 ~<10進数>((1~65535))《22102》

OSI拡張高信頼化機能でOSI拡張着呼デーモンを使用する場合に,相手局ホストからの着呼を受け付けるTCPのポート番号を指定します。

ポート番号は22102を推奨します。22102以外を使用する場合は,相手局ホストの設定に合わせてください。省略した場合は,22102が仮定されます。なお,ポート番号はシステム内で固有な値を指定してください。

(d) patrol_time
パスの生存監視タイマ ~<10進数> ((1~2550))《30》

パスの生存監視時間(単位:秒)を指定します。

(e) receive_buffer_size
受信バッファサイズ ~<10進数> ((128~1048576))《32768》

ソケットの受信バッファサイズ(単位:バイト)を指定します。

(f) send_buffer_size
送信バッファサイズ ~<10進数> ((128~1048576))《32768》

ソケットの送信バッファサイズ(単位:バイト)を指定します。

(g) tcp_nodelay {yes|no}

OSの機能であるTCPのNagleアルゴリズムを無効にするかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

Nagleアルゴリズムは,小さなデータしか送信しない場合にデータをすぐに送信しないで,幾つかのデータを一つのパケットにまとめてから送信する機能です。Nagleアルゴリズムについては,AIXのマニュアルを参照してください。

yes:
Nagleアルゴリズムを無効にします。データをまとめないでそのまますぐに送信するため,送信済みデータが応答待ちの状態になっても,遅延させることなくデータを送信できます。ただし,通信時の送信効率が低下して,ネットワークのトラフィックが増加するおそれがあります。
no:
Nagleアルゴリズムを無効にしません。ただし,OSの設定でNagleアルゴリズムを無効にしている場合は,noを指定しても無効になります。
(h) tcp_nodelayack {yes|no}

OSの機能であるTCPの遅延ACKを無効にするかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

遅延ACKは,受信バッファのサイズに対して受信したデータが小さいと,データを受信してもすぐにACKを返信しない機能です。遅延ACKについては,AIXのマニュアルを参照してください。

yes:
遅延ACKを無効にします。受信バッファのサイズに対して受信したデータが小さくても,データを受信すると直ちにACKを返信するため,レスポンスが向上することがあります。ただし,通信時の送信効率が低下して,ネットワークのトラフィックが増加するおそれがあります。
no:
遅延ACKを無効にしません。ただし,OSの設定で遅延ACKを無効にしている場合は,noを指定しても無効になります。

(5) 注意事項

  1. 障害などによって通信が切断された場合,ソケットのバッファに滞留されていたデータは破棄されます。ソケットの送信・受信バッファサイズを小さくすることによって,滞留するデータ数を減らせますが,小さ過ぎるとスループット性能は低下します。
  2. XNF/AS/ACONARCからXNF/AS/Host Adaptorへ移行する場合は,「5.2.2 ソケットの送信・受信バッファサイズの見積もり」を参照の上,バッファサイズを調整してください。
  3. イーサネット・アダプタ特性項目の「TCP大容量送信オフロード」が有効になっている場合,ソケットの送信バッファサイズに65535バイト未満を指定しても,有効になりません。有効にするためには,「TCP大容量送信オフロード」を無効にしてください。イーサネット・アダプタ特性の設定を変更する手順については,AIXのマニュアルを参照してください。
    設定値は,"lsattr -El entX -a large_send"で確認できます。Xはデバイス番号です。
    設定値が"no"になっている場合,またはlarge_send属性が存在しない場合は設定を変更する必要はありません。