2.2.15 line回線定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド

(1) 機能

ハイレベル手順の端末と接続する回線を定義します。

(2) 定義条件

group文の下に一つ以上定義できます。

なお,Line_adapter文のadapter_typeオペランドとgroup文のtypeオペランドにHDLCを指定します。

(3) 書き方

[図データ]

(4) オペランド

(a) name
回線名称 ~<英数字>((8文字以内))

回線名称を指定します。

当回線名称は,定義の中で固有の値を指定します。

(b) number
回線番号 ~<16進数>((00~03))

回線アダプタに接続する回線の回線番号を指定します。

この回線番号は,ハードウェアの構成に合わせる必要があります。

(c) line_type {leased_line|private_PS|public_PS|ISDN_TA_CS|ISDN_TA_PS}

回線種別を指定します。省略した場合はpublic_PSが仮定されます。

leased_line:
一般専用線として使用する場合に指定します。
private_PS:
私設パケット交換網接続回線を使用する場合に指定します。
public_PS:
公衆パケット交換網接続回線を使用する場合に指定します。
ISDN_TA_CS:
ターミナルアダプタ(TA)経由でISDN(回線交換サービス)を使用する場合に指定します。
ISDN_TA_PS:
ターミナルアダプタ(TA)経由でISDN(パケット交換サービス)を使用する場合に指定します。

このline文がSW_group_define文の下に含まれる場合は,このオペランドは指定不要です(指定時は無視してSW_group_define文line_typeオペランド値を使用します)。

(d) line_mode {80PVC|80VC|84VC|80VC_80PVC|84VC_80PVC|ABM_DTE|ABM_DCE|NRM1|NRM2}

回線対応プロトコル種別を指定します。省略した場合は80VCが仮定されます。

80PVC:
80年度版X.25プロトコルをPVC端末に使用するときに指定します。
80VC:
80年度版X.25プロトコルをVC端末に使用するときに指定します。
84VC:
84年度版X.25プロトコルをVC端末に使用するときに指定します。
80VC_80PVC:
80年度版X.25プロトコルをVC/PVC共存端末に使用するときに指定します。
84VC_80PVC:
84年度版X.25プロトコルをVC/PVC共存端末のVCで,80年度版X.25プロトコルをVC/PVC共存端末のPVCで使用するときに指定します。
ABM_DTE:
HDLCパススルーのABMのDTE側を示します。
ABM_DCE:
HDLCパススルーのABMのDCE側を示します。
NRM1:
HDLCパススルーまたはHNA1のNRMの1次局を示します。
NRM2:
HDLCパススルーまたはHNA2のNRMの2次局を示します。

このline文がSW_group_define文の下に含まれる場合は,このオペランドは指定不要です(指定時は無視してSW_group_define文line_modeオペランド値を使用します)。

通信機能によって,指定できるline_typeオペランド値とline_modeオペランド値の組み合わせは異なります。指定できる組み合わせを表2-9に示します。なお,xnfgenコマンドでは,組み合わせをチェックしません。

表2-9 通信機能・line_typeオペランドとline_modeオペランドの組み合わせ

通信機能line_typeオペランド値line_modeオペランド値
80PVC80VC84VC80VC_80PVC84VC_80PVCABM_DTEABM_DCENRM1NRM2
OSIleased_line
private_PS
public_PS
ISDN_TA_CS
ISDN_TA_PS
HNAleased_line
private_PS
public_PS
ISDN_TA_CS
ISDN_TA_PS
X.25パススルーleased_line
private_PS
public_PS
ISDN_TA_CS
ISDN_TA_PS
HDLCパススルーleased_line
上記以外
(凡例)
○:指定できます。
-:指定できません。
注※ HNA1ではサポートしません。HNA2ではサポートします。
(e) speed{2.4K|3.6K|4.8K|7.2K|9.6K|12K|14.4K|16K|19.2K|32K|48K|56K|64K|128K|192K|256K|384K|512K|768K|1152K|1536K}

回線の転送速度(ビット/秒)を指定します。

line_typeオペランドとspeedオペランドの組み合わせを表2-10に示します。

なお,xnfgenコマンドでは組み合わせをチェックしません。また,表内の1K(キロ)=1000計算値です。

表2-10 line_typeオペランドとspeedオペランドの組み合わせ

speedオペランドline_typeオペランド
leased_lineprivate_PSpublic_PSISDN_TA_CSISDN_TA_PS
2.4K
3.6K
4.8K
7.2K
9.6K
12K
14.4K
16K
19.2K
32K
48K
56K
64K
128K
192K
256K
384K
512K
768K
1152K
1536K
(凡例)
○:指定できます。
-:指定できません。
(f) modem_clock {synch_ST1|synch_ST2|asynch}

モデムのクロック特性を指定します。物理インタフェースがX.21の場合は,必ずsynch_ST2を指定してください。このオペランドは,m_clockと省略して指定することもできます。また,省略した場合はsynch_ST2が仮定されます。

synch_ST1:同期モデム(ST1/RT方式)
両端の装置相互間で,データ転送のタイミングを取ります。モデムのクロックを使用します。
synch_ST2:同期モデム(ST2/RT方式)
回線上の両端にあるモデム相互間で,データ転送のタイミングを取ります。モデムのクロックを使用します。
asynch:非同期モデム
両端の装置相互間で,データ転送のタイミングを取ります。モデムのクロックは使用しません。
(g) modem_type {full|half}

モデムのデータ伝送種別を指定します。このオペランドは,m_typeと省略して指定することもできます。また,省略した場合はfullが仮定されます。

full:全二重モデム
回線上,両方向同時に伝送できます。データ伝送のための搬送波を常に送出するモデムです。
half:半二重モデム
回線上,片方向交互に伝送します。データを送信する側が搬送波を常に送り出し,送信が終了すると送り出しをやめるモデムです。
(h) RS_control {on_off|on_fixed}

RS信号線の制御を指定します。このオペランドは,RS_ctrと省略して指定することもできます。また,省略した場合はon_fixedが仮定されます。

X.21インタフェースの場合は,C信号の制御になります。

on_off:
データ送信時にRS信号をオンにし,送信完了時にオフにします。
on_fixed:
回線オープン中のとき, RS信号をオンに固定します。

このオペランド値は,使用する手順によって指定値が異なります。

line_modeオペランド値とこのオペランド値の関係を表2-11に示します。なお,xnfgenコマンドでは,組み合わせをチェックしません。

表2-11 line_modeオペランド値とRS_controlオペランド値の関係

RS_controlオペランド値line_modeオペランド値
80PVC80VC84VC80VC_80PVC84VC_80PVCABM_DTEABM_DCENRM1NRM2
on_off
on_fixed
(凡例)
○:RS_control オペランドを省略します。または,on_fixedを指定します。
△:modem_typeオペランド指定値と接続形態の組み合わせで異なります(表2-12を参照してください)。
-:指定できません。

表2-12 modem_typeオペランド指定値,接続形態,およびRS_control,CDcheckオペランドの組み合わせ

line_modemodem_type接続形態RS_controlCDcheck
NRM1fullポイント-ポイントon_fixedno
マルチポイントon_fixedyes
halfポイント-ポイントon_offyes
マルチポイントon_offyes
NRM2fullポイント-ポイントon_fixedno
マルチポイントon_offno
halfポイント-ポイントon_offyes
マルチポイントon_offyes
(i) CDcheck {yes|no}

相手局からの搬送波の検出信号(CD)のオフを確認する機能(cdcheck)を使うか,使わないかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

yes:
cdcheckを使用します。
no:
cdcheckを使用しません。

このオペランド値は使用する手順によって指定値が異なります。line_modeオペランド値とこのオペランド値の関係を表2-13に示します。なお,xnfgenコマンドでは,組み合わせをチェックしません。

表2-13 line_modeオペランド値とCDcheckオペランド値の関係

CDcheckオペランド値line_modeオペランド値
80PVC80VC84VC80VC_80PVC84VC_80PVCABM_DTEABM_DCENRM1NRM2
yes
no
(凡例)
○:CDcheckオペランドを省略します。または,noを指定します。
△:modem_typeオペランド指定値と接続形態の組み合わせで異なります(表2-12を参照してください)。
-:指定できません。
(j) NRZI {yes|no}

line_modeオペランドにNRM1,NRM2,ABM_DTEまたは,ABM_DCEと指定したとき,回線を伝送するデータのビット値と回線上の電気的な極性との関係を指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

yes:
伝送するデータビットに0が連続する場合,回線上の極性を変化させます。
no:
伝送するデータビットに0が連続しても,回線上の極性を変化させません。
(k) calling_mode {address|direct}

発信動作モードを設定します。このオペランドはcall_mと省略して指定することもできます。また,省略した場合はaddressが仮定されます。

address:X.21アドレスコール動作
自局で指定した相手局のアドレスに送信するときに指定します。
direct:X.21ダイレクトコール動作
網に登録したアドレスに送信するときに指定します。

なお,このオペランドはline_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合に指定できます。line_typeオペランド値がそのほかの場合は,このオペランド指定値は無視されます。

(l) separating_character
サブアドレス分割キャラクタ ~<!"#$%&'()*+,-./:<=>?@[¥]^_{|}>((1文字))《*》

公衆網/私設網サブアドレス分割キャラクタを指定します。このオペランドはs_charと省略して指定することもできます。サブアドレス分割キャラクタはISDN網内アドレスと構内アドレスを分割するための文字です。TA(ターミナルアダプタ)の設定と合わせる必要があります。

なお,このオペランドはline_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合でline_modeオペランド指定値が84VCまたはNRM2の場合に指定できます。

オペランドの組み合わせが上記以外の場合は,このオペランド値は無視されます。

(m) line_attribute {in|out|twoway}

回線の利用種別を指定します。このオペランドはattrと省略して指定することもできます。また,省略した場合はtwowayが仮定されます。

in:
着信専用回線として使用します。
out:
発信専用回線として使用します。
twoway:
発着信共用回線として使用します。

このオペランドは,line_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合でline_modeオペランド指定値がNRM1のときに指定できます。そのほかの組み合わせの場合は,このオペランドは無視されます。

また,このline文がSW_group_define文の下に含まれる場合は,このオペランドは指定不要です(指定時は無視してSW_group_define文line_attributeオペランド値を使用します)。

(n) switch_type {X21|V25bis}

使用する物理インタフェースの種別を指定します。このオペランドはs_typeと省略して指定することもできます。また,省略した場合はX21が仮定されます。

X21:
回線交換網X.21インタフェースを使用します。
V25bis:
電話網V.25bisインタフェースを使用します。

このオペランドはline_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合に指定できます。組み合わせがそのほかの場合はこのオペランド値は無視されます。

また,このline文がSW_group_define文の下に含まれる場合は,このオペランドは指定不要です(指定時は無視してSW_group_define文switch_typeオペランド値を使用します)。

(o) poll_time
ポーリングインタバル時間 ~<小数点付き10進数>((0.0~255.0))《0.2》

ポーリングインタバルタイマ値(単位:秒)を指定します。指定値は,0.125の倍数に切り上げられます。

このオペランドは,line_modeオペランド指定値がNRM1の場合に指定できます。line_modeオペランド指定値がNRM1以外の場合は,このオペランドの指定は無視されます。

ポーリングインタバルタイマとは,1次局が2次局のポーリングをする場合,2次局のデータがないときに,再び先頭の2次局へポーリングするまでの間隔をいいます。ポーリングインタバルタイマの概要を図2-3に示します。

図2-3 ポーリングインタバルタイマの概要

[図データ]

(p) patrol_time
回線状態監視時間 ~<10進数>

回線の動作状態を監視するために使用する時間(単位:秒)を指定します。なお,指定値は0.125の倍数に切り上げられます。このオペランドは,patrolと省略して指定することもできます。

指定範囲およびデフォルト値を次に示します。

回線状態監視時間は,line_modeオペランド指定値によって意味が異なります。

line_modeがNRM2の場合:
Fビットフレーム送信後,自局に対するPビットフレーム受信を監視する時間です。
指定の監視時間内にPビットフレームが受信できなかった場合は,リンク障害を報告し自局はモード設定不可状態に移行します。
このオペランドに0を指定すると,時間監視を行いません。
line_modeが80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,84VC_80PVC,ABM_DTE,およびABM_DCEの場合:
指定の監視時間の間,無通信状態が続くと,RR.Pフレームを送信します。
RR.Pフレーム送信に対する応答(RR.FフレームまたはRNR.Fフレーム受信)は,link文のdata_timeオペランドとdata_retryオペランドで指定した値で監視します。
line_modeがNRM1の場合:
このオペランドの指定は無視されます。
(q) idle {flag|mark}

回線アイドル状態のときに,送出するコードを指定します。省略した場合はflagが仮定されます。

flag:
‘7E’を指定します。
mark:
‘FF’を指定します。
(r) shared_flag {yes|no}

送信フレーム間のフラグ共有の有無を指定します。このオペランドは,sh_flgと省略して指定することもできます。また,省略した場合はyesが仮定されます。

yes:
フラグを共有します。
no:
フラグを共有しません。