2.2 通信エンティティアソシエーション

<この節の構成>
(1) 通信エンティティとAP識別子
(2) 自ステーションのPSAPアドレス
(3) アソシエーション

(1) 通信エンティティとAP識別子

OSI通信機能を使用して,データを送受信する上位プログラムをユーザ通信エンティティといいます。各ユーザ通信エンティティは,一つ一つが独立したアプリケーションプロセスであり,ユーザ通信エンティティを識別するために「AP識別子」,または「自ステーションのPSAPアドレス」を使用します。AP識別子は,最大14文字のIA5文字列であり,あらかじめ構成定義時に定義しておく必要があります。

なお,ユーザ通信エンティティの識別として「AP識別子」を使用した場合,「自ステーションのPSAPアドレス」は,構成定義時に指定する必要があります。

「AP識別子」,「自ステーションのPSAPアドレス」のどちらを使用するかは,通信を開始する際に指定します。詳細については,「9.2 通信記述部の説明」を参照してください。

(2) 自ステーションのPSAPアドレス

上位プログラムが使用するTセレクタ(最大32バイト,バイナリ),Sセレクタ(最大16バイト,バイナリ),およびPセレクタ(最大16バイト,バイナリ)を指定します。OSI通信機能は,この情報でTSAP,SSAP,およびPSAPと,上位プログラムの関連づけを行います。詳細については,「5. 通信相手の指定」を参照してください。

これらの関係を図2-2に示します。OSI通信機能では,TSAPとユーザ通信エンティティの対応づけを行います。PSAPおよびSSAPの指定は,必須ではありません。

一つのTSAPを別々のプロセスで共用し,SSAPを別々に定義することもできます。

[図データ]

図2-2 ユーザ通信エンティティの定義

[図データ]

(3) アソシエーション

ユーザ通信エンティティ間でデータ伝送をするための論理的な結合を「アソシエーション」といいます。このアソシエーションは,一つのユーザ通信エンティティで複数本持つことができ,同時に複数のユーザ通信エンティティとの間でデータ伝送ができます。

OSI通信機能は,上位プログラムからの要求によってアソシエーションを確立します。このとき,OSI通信機能は,システム内でアソシエーションを一意に識別する情報として「アソシエーション端点識別子」を上位プログラムに知らせます。これ以降,上位プログラムは,アソシエーション端点識別子を指定してデータ伝送を行います。このアソシエーション端点識別子は,アソシエーションを解放するまで有効です。

OSI通信機能の上位プログラムは,プロトコル上で上位プロセスを識別するAP名称として発呼側,着呼側,または応答側ステーションのAEタイトルAPタイトルAE修飾子)およびインボケーション識別子をアソシエーション設定時に指定できます(任意)。

詳細については,「9.2 通信記述部の説明」を参照してください。