2.2.21 linkリンク定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド

(1) 機能

端末との論理的な接続を示すリンクを定義します。

(2) 定義条件

line文の下で一つ以上のlink文を定義します。

一つのline文の下に定義できるlink文の数は最大8,一つのLine_adapter文の下に定義できるlink文の数は最大16です。ただし,使用できるlink文の最大数は搭載している回線アダプタで変わるため,詳細についてはマニュアル「EP8000回線アダプタ 概説/解説書」を参照してください。

(3) 書き方

[図データ]

(4) オペランド

(a) name
リンク名称 ~<英数字>((8文字以内))

リンク名称を定義します。リンク名称は,定義文の中で固有の値を指定します。

(b) data_link_address
データリンクアドレス ~<10進数>((1~254))

データリンクアドレスを指定します。line文line_modeオペランド値とこのオペランド指定値の対応を表2-17に示します。このオペランドは,d_addrと省略して指定することもできます。

TA経由のISDN網に接続された回線(line文のline_typeオペランドにISDN_TA_CSと指定)でかつ,X25プロトコルを使用(line文のline_modeオペランドに80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVCまたは84VC_80PVCと指定)する場合には,data_link_addressオペランドに1を指定してください。これによって,発信接続の場合は相手局アドレスとして1を使用し,着信接続の場合は自局アドレスとして1を使用します。

 

表2-17 line文line_modeオペランド値とdata_link_addressオペランド指定値の対応

オペランド種別指定値line文line_modeオペランド値
80PVC80VC84VC80VC_80PVC84VC_80PVCABM_DTEABM_DCENRM1NRM2
data_link_address自局アドレス※1
相手局アドレス※1※2※2※2※2※2※4
オペランド不要※4
data_link_address2自局アドレス※1※3※3※3※3※3
オペランド不要
(凡例)
○:該当します。
-:該当しません。
注※1
オペランド未指定時は,次のメッセージを出力してxnfgenコマンドを終了します。
KANC012-W XNF/AS definition error:line=行番号,(オペランド名)must be specified.
注※2
パケット交換網との接続(上位プロトコルX.25)であり,通常はdata_link_address 1と指定します。
注※3
パケット交換網との接続(上位プロトコルX.25) であり,通常はdata_link_address2 3と指定します。
注※4
line文line_typeオペランド指定値によってオペランド指定が異なります。
表2-18にline文line_typeオペランド指定値との対応を示します。

表2-18 line文line_typeオペランド値とdata_link_addressオペランド指定値の対応(NRM1時だけ)

オペランド種別指定値line文line_typeオペランド値
leased_lineISDN_TA_CS
data_link_address相手局アドレス
オペランド不要
(凡例)
○:該当します。
-:該当しません。
注※
オペランド指定時は,次のメッセージを出力してxnfgenコマンドを終了します。
KANC012-W XNF/AS definition error:line=行番号,syntax error.
(c) data_link_address2
データリンクアドレス ~<10進数>((1~254))

データリンクアドレスを指定します。line文line_modeオペランド値とこのオペランド指定値の対応については表2-17を参照してください。このオペランドは,d_addr2と省略して指定することもできます。

ISDN網に接続された回線(line文のline_typeオペランドにISDN_TA_CSと指定)でかつ,X25プロトコルを使用(line文のline_modeオペランドに80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVCまたは84VC_80PVCと指定)する場合には,data_link_address2オペランドに3を指定してください。これによって,発信接続の場合は自局アドレスとして3を使用し,着信接続の場合は相手局アドレスとして3を使用します。

(d) connection_retry
モード設定時の再試行回数 ~<10進数>((0~255))《表2-19表2-20参照》

リンク確立に失敗したときの,リンク確立要求の再試行回数を指定します。このオペランドは,con_rと省略して指定することもできます。

このオペランドを指定した回数分,無効応答またはタイムアウトが発生したときにリンク確立失敗となります。0を指定した場合は1を指定したときと同じ動作に,255を指定した場合は無限に監視をします。

(e) connection_time
モード設定時の応答監視時間値 ~<小数点付き10進数>((0.5~255.0))《表2-19表2-20参照》

リンク確立応答の応答監視時間(秒)を指定します。なお,指定値は0.125の倍数に切り上げられます。このオペランドは,con_tと省略して指定することもできます。

(f) data_retry
データ転送時の再試行回数 ~<10進数>((0~255))《表2-19表2-20参照》

データに対しての応答が得られなかったときの,データ送信再試行回数を指定します。このオペランドは,data_rと省略して指定することもできます。

このオペランドに指定した回数分,無効応答またはタイムアウトが発生したときにリンク障害となります。0を指定した場合は,1を指定したときと同じ動作になります。

(g) data_time
データ転送時の応答監視時間値 ~<小数点付き10進数>((0.5~255.0))《表2-19表2-20参照》

データ送達確認の応答監視時間(秒)を指定します。なお,指定値は0.125の倍数に切り上げられます。

line_modeオペランドにNRM2を指定した場合,1次局からのポーリング監視はpatrol_timeオペランド指定値でします。

connection_retry,connection_time,data_retry,およびdata_timeオペランドは,回線速度によってデフォルトが異なります。設定される値を,表2-19,および表2-20に示します。

表2-19 回線速度ごとのデフォルト値(line文のline_modeオペランドに80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,84VC_80PVC,ABM_DTE,またはABM_DCEと指定した場合)

条件構成定義のデフォルト値
回線速度(speed)max_DPDU(バイト)data_time(秒)data_retry(回数)connection_time(秒)connection_retry(回数)
2400bps以上
4800bps未満
1024以下9.039.03
4096以下34.03
8160以下67.03
4800bps以上
9600bps未満
1024以下5.045.04
4096以下17.03
8160以下34.03
9600bps以上
12Kbps未満
1024以下3.073.07
4096以下9.03
8160以下17.03
12Kbps以上
48Kbps未満
1024以下2.072.07
4096以下7.03
8160以下14.03
48Kbps以上1024以下1.0121.012
4096以下2.07
8160以下4.05
表内の1K(キロ)=1000の計算値です。
注※
line_modeに80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,または84VC_80PVCを指定した場合, max_DPDUオペランドに指定した値にパケットヘッダ分(3バイト)を足した値によって,次のデフォルト値が設定されます。
例:回線速度に48Kbps,max_DPDUに1024を指定した場合,data_timeのデフォルト値は2.0秒になります。

表2-20 回線速度ごとのデフォルト値(line文のline_modeオペランドにNRM1またはNRM2を指定した場合)

条件構成定義のデフォルト値
回線速度(speed)max_DPDU(バイト)data_time(秒)data_retry(回数)connection_time(秒)connection_retry(回数)
2400bps以上
4800bps未満
1024以下8.038.0NRM1の場合:1
NRM2の場合:3
4096以下18.03
8160以下34.03
4800bps以上
9600bps未満
1024以下5.054.0NRM1の場合:4
NRM2の場合:5
4096以下10.03
8160以下18.03
9600bps以上
12Kbps未満
1024以下3.072.0NRM1の場合:1
NRM2の場合:7
4096以下7.03
8160以下10.03
12Kbps以上
48Kbps未満
1024以下2.0121.0NRM1の場合:1
NRM2の場合:12
4096以下4.06
8160以下7.03
48Kbps以上1024以下1.0250.5NRM1の場合:1
NRM2の場合:25
4096以下2.013
8160以下4.07
(h) busy_retry
ビジー発生時の再試行回数 ~<10進数>((0~255))《8》

ビジー状態からビジー解除状態までの再試行回数を指定します。このオペランドは,busy_rと省略して指定することもできます。

0を指定した場合は,1を指定したときと同じ動作になります。

(i) busy_time
ビジー発生時の応答監視時間値 ~<小数点付き10進数>((0.1~255.0))《4.0》

ビジー状態からビジー解除状態までの応答監視時間(秒)を指定します。指定値は0.125の倍数に切り上げられます。

なお,line_modeオペランドにNRM2を指定した場合,タイマでのビジー監視はしないため,このオペランドの指定は無視されます。

(j) outstand
アウトスタンディングフレーム数 ~<10進数>((1~7))《7》

HDLC手順で,送信側が受信側に応答未確認のまま連続して送信できるフレーム数(個)を指定します。

(k) max_DPDU
最大DPDU長 ~<10進数>

XNF/ASが送受信できる最大DPDU長(バイト)を指定します。指定範囲およびデフォルト値を次に示します。

この最大DPDU長は最大Iフレーム情報フィールド長を示し,パケット交換網接続回線を使用する場合は,使用する最大パケットサイズを指定します。

(l) VASS
仮想スロット番号 ~<10進数>((100~900))

仮想スロット番号を指定します。仮想スロット番号,公衆グループ仮想スロット番号の中で固有の値を指定します。

当スロット番号は,上位APのスロット番号と対応を取る必要があります。

このlink文がSW_group_define文の下に含まれる場合は,このオペランドは指定不要です(指定すると,不要なオペランド指定としてエラーになります)。含まれない場合は指定する必要があります。

(m) auto_start {yes|no}

xnfstartコマンドでXNF/ASを開始した時,link文で定義したリンクを自動起動するかどうかを指定します。このオペランドは,auto_sと省略して指定することもできます。また,省略した場合はyesが仮定されます。

yes:
自動起動します。
no:
自動起動しません。使用する場合は,xnfonlineコマンドの入力が必要です。

xnfonlineコマンドを入力すると,xnfofflineコマンドを入力するまで自動起動の対象となります。詳細は,マニュアル「XNF/AS 解説・運用編」の「事前定義機能」を参照してください。

(n) ABM_DCE_connect {DM|wait}

line文のline_modeオペランドがABM_DCEのとき,リンク確立時の回線アダプタ側の動作を指定します。このオペランドは,ABM_conと省略して指定することもできます。また,省略した場合はwaitが仮定されます。

DM:
[図データ]フレームを送信し,SABM.Pフレームを待ちます。
wait:
SABM.Pフレームの受信を永久に待ちます。
(o) NRM2_DISC {DM|no_DM}

line文のline_modeオペランドがNRM2の場合,リンク切断状態でのPビット付きフレームに対する回線アダプタの応答動作を指定します。省略した場合はDMが仮定されます。

DM:
DM.Fフレームを応答します。
no_DM:
フレームを応答しません。
(p) mode {half|duplex}

line文のline_modeオペランドがNRM1またはNRM2の場合,リンクの通信モードを指定します。省略した場合はduplexが仮定されます。

half:
半二重モードを使用します。
duplex:
全二重モードを使用します。

line文のmodem_typeオペランドにhalfを指定した場合,このオペランドにもhalfを指定する必要があります。

(q) terminal_ID
ターミナルID ~<16進数>((5けた))

ターミナルIDを指定します。このオペランドはt_IDと省略して指定することもできます。

なお,このオペランドはline文line_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合で,line文line_modeオペランド指定値がNRM2のときに指定します。そのほかの場合は,このオペランドは無視されます。

(r) unit_ID
装置ID ~<16進数>((3けた))《018》

装置IDを指定します。

デフォルト値018は対日立ホストを示します。

なお,このオペランドはline文line_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合で,line文line_modeオペランド指定値がNRM2のときに指定できます。そのほかの場合は,このオペランドは無視されます。

ターミナルID,装置IDはホスト側からのXIDに対するレスポンスとして6バイトのデータの下位4バイトを構成します(上位2バイトは0x0200固定)。

図2-4 XIDの形式

[図データ]

(s) SW_group_VASS
公衆グループ仮想スロット番号 ~<10進数>((100~900))

公衆グループ仮想スロット番号を指定します。このオペランドはSW_grp_Vと省略して指定できます。

このオペランドはSW_group_define文との対応をとるものであり,このlink文をSW_group_define文の下に含ませる場合にSW_group_define文VASSオペランド値と同じ値を指定します。

なお,このオペランドはline文line_typeオペランド指定値がISDN_TA_CSの場合でline文line_modeオペランド指定値がNRM1のときに指定できます。ただし,公衆グループを使用しない場合は指定できません。

そのほかの組み合わせの場合に,このオペランドを指定するとSW_group_define文との組み合わせ不正となるため,次のエラーメッセージを出力してxnfgenコマンドを終了します。

KANC012-W XNF/AS definition error:line=行番号,invalid value(SW_group_VASS).

(t) disconnect_retry
モード切断時の再試行回数 ~<10進数>((0~255))《1》

リンク切断応答が得られないときのリンク切断要求の再試行回数(回)を指定します。

0を指定した場合は,1を指定したときと同じ動作になります。応答監視時間はモード設定時の応答監視時間(connection_timeオペランド指定値)が有効となります。このオペランドは,disc_rと省略して指定することもできます。

このオペランドはline文のline_modeオペランド指定値が80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,84VC_80PVC,ABM_DTE,ABM_DCE,NRM1,またはNRM2のときに指定できます。

(u) NRM1_connect {modeset|DISC}

line文のline_modeオペランドがNRM1の場合に,モード設定動作を指定します。このオペランドは,NRM1_conと省略して指定することもできます。また,省略した場合modesetが仮定されます。

modeset:
SNRM.Pフレームを送信し,UA.Fフレームを待ちます。
DISC:
DISC.Pフレームを送信してUA.Fフレームを受信したあとに,SNRM.Pフレームを送信してUA.Fフレームを待ちます。
(v) NRM2_reconnect {error|modeset}

line文のline_modeオペランドがNRM2の場合に,データリンク確立後にSNRM.Pフレームを受信したときの動作を指定します。このオペランドは,NRM2_rconと省略して指定することもできます。また,省略した場合errorが仮定されます。

error:
リンク障害を報告し,データリンクを切断します。
modeset:
データリンク確立状態をリセットします。リンク障害は報告しません。
(w) ABM_reconnect {modeset_p|modeset_all|error_p|error_all}

line文のline_modeオペランドが80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,84VC_80PVC,ABM_DTE,またはABM_DCEのとき,データリンク確立後にSABM.Pフレームおよび[図データ]フレームを受信した場合の動作を指定します。

このオペランドは,ABM_rconと省略して指定することもできます。また,省略した場合は,line_modeが80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVCまたは84VC_80PVCのときはmodeset_p,line_modeがABM_DTEまたはABM_DCEのときはerror_pが仮定されます。

modeset_p:
SABM.Pフレームを受信した場合,データリンク確立状態をリセットします。リンク障害は報告しないでUA.Fを送信します。[図データ]フレーム受信時は常に破棄します。
modeset_all:
SABM.Pフレームおよび[図データ]フレームを受信した場合,データリンク確立状態をリセットします。リンク障害は報告しないでUA.Fおよび[図データ]を送信します。
error_p:
SABM.Pフレームを受信した場合,リンク障害を報告しデータリンクを切断します。UA.Fは送信しません。[図データ]フレーム受信時は常に破棄します。
error_all:
SABM.Pフレームおよび[図データ]フレームを受信した場合,リンク障害を報告しデータリンクを切断します。UA.Fおよび[図データ]は送信しません。