2.2.30 TPTCP_commonOSI拡張高信頼化機能用共通定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド
(5) 注意事項

(1) 機能

OSI拡張高信頼化機能で使用する共通情報を指定します。

(2) 定義条件

定義文全体に対して1回だけ定義します。

この定義は省略できます。

(3) 書き方

[図データ]

(4) オペランド

(a) patrol_time
パスの生存監視タイマ ~<10進数> ((1~2550))《30》

パスの生存監視時間(単位:秒)を指定します。

(b) receive_buffer_size
受信バッファサイズ ~<10進数> ((128~1048576))《32768》

ソケットの受信バッファサイズ(単位:バイト)を指定します。

(c) send_buffer_size
送信バッファサイズ ~<10進数> ((128~1048576))《32768》

ソケットの送信バッファサイズ(単位:バイト)を指定します。

(d) tcp_nodelay {yes|no}

OSの機能であるTCPのNagleアルゴリズムを無効にするかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

Nagleアルゴリズムは,小さなデータしか送信しない場合にデータをすぐに送信しないで,幾つかのデータを一つのパケットにまとめてから送信する機能です。Nagleアルゴリズムについては,AIXのマニュアルを参照してください。

yes:
Nagleアルゴリズムを無効にします。データをまとめないでそのまますぐに送信するため,送信済みデータが応答待ちの状態になっても,遅延させることなくデータを送信できます。ただし,通信時の送信効率が低下して,ネットワークのトラフィックが増加するおそれがあります。
no:
Nagleアルゴリズムを無効にしません。ただし,OSの設定でNagleアルゴリズムを無効にしている場合は,noを指定しても無効になります。
(e) tcp_nodelayack {yes|no}

OSの機能であるTCPの遅延ACKを無効にするかどうかを指定します。省略した場合はnoが仮定されます。

遅延ACKは,受信バッファのサイズに対して受信したデータが小さいと,データを受信してもすぐにACKを返信しない機能です。遅延ACKについては,AIXのマニュアルを参照してください。

yes:
遅延ACKを無効にします。受信バッファのサイズに対して受信したデータが小さくても,データを受信すると直ちにACKを返信するため,レスポンスが向上することがあります。ただし,通信時の送信効率が低下して,ネットワークのトラフィックが増加するおそれがあります。
no:
遅延ACKを無効にしません。ただし,OSの設定で遅延ACKを無効にしている場合は,noを指定しても無効になります。

(5) 注意事項

  1. 障害などによって通信が切断された場合,ソケットのバッファに滞留されていたデータは破棄されます。ソケットの送信・受信バッファサイズを小さくすることによって,滞留するデータ数を減らせますが,小さ過ぎるとスループット性能は低下します。
  2. FEP-4V構成で,HDLC回線側で送信ビジーが発生した場合,ホストから受信する電文はソケットの受信バッファに滞留します。受信バッファサイズを小さくすることによって,ビジータイムアウト発生時に破棄される受信データ数を減らすことができます。
  3. FEP-4V構成で,ホスト側で受信ビジーが発生した場合,ホストに送信する電文はソケットの送信バッファと,ホストの受信ウィンドウに滞留します。送信バッファサイズとホストの受信ウィンドウを小さくすることによって,ビジータイムアウト発生時に破棄される送信データ数を減らすことができます。
    ホストの受信ウィンドウの詳細については,マニュアル「VOS3 XNF TCP/IP接続機能 XNF/TCP 定義とコマンド」を参照してください。
  4. XNF/AS/ACONARCからXNF/AS/Host Adaptorへ移行する場合は,「5.2.2 ソケットの送信・受信バッファサイズの見積もり」を参照の上,バッファサイズを調整してください。
  5. イーサネット・アダプタ特性項目の「TCP大容量送信オフロード」が有効になっている場合,ソケットの送信バッファサイズに65535バイト未満を指定しても,有効になりません。有効にするためには,「TCP大容量送信オフロード」を無効にしてください。イーサネット・アダプタ特性の設定を変更する手順については,AIX 5Lのマニュアルを参照してください。
    設定値は,"lsattr -El イーサネットデバイス名称 -a large_send"で確認できます。
    設定値が"no"になっている場合,またはlarge_send属性が存在しない場合は設定を変更する必要はありません。