2.2.22 NLネットワーク層(NL)定義文

<この項の構成>
(1) 機能
(2) 定義条件
(3) 書き方
(4) オペランド
(5) 接続形態とオペランドの対応

(1) 機能

ネットワーク層(NL)の共通情報とオプション機能およびパラメタを定義します。

(2) 定義条件

ネットワーク層プロトコルに80/84VCまたは80PVCを使用する場合,link文の下で1回だけ定義します。

(3) 書き方

回線系(VC)の場合:
[図データ]
回線系(80PVC)の場合:
[図データ]

(4) オペランド

(a) min_VC_LCGN
最小LCGN ~<10進数>((0~15))

VCで使用する論理チャネルグループ番号(LCGN)の最小値を指定します。パケット交換網と接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。パケット交換網以外で接続している場合,相手システムと合意した値を指定します。

このオペランドは,min_V_LGと省略して指定することもできます。

(b) max_VC_LCGN
最大LCGN ~<10進数>((0~15))

VCで使用する論理チャネルグループ番号(LCGN)の最大値を指定します。パケット交換網と接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。パケット交換網以外で接続している場合,相手システムと合意した値を指定します。最小LCGN以上の値を指定します。

このオペランドは,max_V_LGと省略して指定することもできます。

(c) min_VC_LCN
最小LCN ~<10進数>((0~255))

VCで使用する論理チャネル番号(LCN)の最小値を指定します。パケット交換網と接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。パケット交換網以外で接続している場合,相手システムと合意した値を指定します。

このオペランドは,min_V_Lと省略して指定することもできます。

(d) max_VC_LCN
最大LCN ~<10進数>((0~255))

VCで使用する論理チャネル番号(LCN)の最大値を指定します。パケット交換網と接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。パケット交換網以外で接続している場合,相手システムと合意した値を指定します。

このオペランドは,max_V_Lと省略して指定することもできます。

注意事項:
LCI=0(LCGN=0,LCN=0)は,リスタートパケットのために予約されていますので,定義されても使用されません。また,LCGNおよびLCNの最大/最小をすべて0に設定することはできません。
ここで指定した値は,データリンク当たりのコネクション数となります。コネクション数は次の式から算出できます。

 コネクション数=(最大LCGN-最小LCGN+1)×(最大LCN-最小LCN+1)

上記のコネクション数から,LCI=0を含む場合には1を引いたものがデータリンク当たりのコネクション数となります。ただし,ここで算出されたコネクション数よりもmax_VC_network_connectionが優先されることに注意してください。
最大/最小LCGNおよびLCNは発着信両用です。網加入時に発信専用または着信専用の条件で加入する場合,定義する値の範囲に注意してください。発信の場合,最大値から降順に使用します。着信の場合,網は最小値から昇順に使用します。
(e) send_window_size
送信ウィンドウサイズ ~<10進数>((1~7))《2》

VC接続の際の送信ウィンドウサイズを指定します。パケット交換網接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。このオペランドは,swsと省略して指定することもできます。

網への加入申請時「フロー制御パラメタネゴシエーション」を「有」としてください。ウィンドウサイズは,この指定値を基にコネクションの確立時に,相手システムとの間で折衝し小さい値を使用して通信します。

(f) receive_window_size
受信ウィンドウサイズ ~<10進数>((1~7))《2》

VC接続の際の受信ウィンドウサイズを指定します。パケット交換網接続している場合,網加入時に決定した値を指定します。このオペランドは,rwsと省略して指定することもできます。

網への加入申請時「フロー制御パラメタネゴシエーション」を「有」としてください。ウィンドウサイズは,この指定値を基にコネクションの確立時に,相手システムとの間で折衝し小さい値を使用して通信します。

注意事項:
INS-Pなどの公衆パケット網接続の際には,表2-21に示すパケット長とウィンドウサイズの関係に留意してください。

表2-21 パケット長とウィンドウサイズの関係

スループットクラスパケット長最大ウィンドウサイズ
9600bps128バイト5
256バイト4
512バイト,1024バイト,2048バイト,または4096バイト2
4800bps以下128バイトまたは256バイト4
512バイト,1024バイト,2048バイト,または4096バイト2
(g) DTE_address
自局のDTEアドレス ~<10進数>((10けた以内))《指定しない》

自局のDTEアドレス(網加入番号)を指定します。専用回線で接続している場合,相手システムと合意した値を指定します。このオペランドは,DTE_addrと省略して指定することもできます。

ISDN網と接続している場合,「市外局番」から指定してください。また,一般専用線および私設パケット交換サービスと接続している場合は,DTEアドレスの先頭1けたは0以外の値を指定してください。

(h) DTE_address2
自局のDTEアドレス ~<10進数>((15けた以内))

自局のDTEアドレスを指定します。相手システムと合意した値を指定します。このオペランドは,DTE_addr2と省略して指定することもできます。

X.25グループ配下のNL文でこのオペランドを指定した場合, X25_group_define文のDTE_address2定義がなければこのオペランドが有効になります。

X25_group_define文にDTE_address2定義がある場合には, X25_group_define文が優先されます。

(i) network_id
ネットワーク識別子 ~<10進数>((4けた))《指定しない》

自局の接続するネットワークの識別子を指定します。このオペランドは,net_idと省略して指定することもできます。

プライベートドメインの場合:
「1000~1999」
一般専用線の場合:
「8000~8999」
私設パケット交換サービス:
「8000~8999」
公衆パケット交換サービス:
「0000,4400~4499」(DDX-P:4401,INS-P:0000)
ISDN(回線交換)サービス:
「0000」

WAN接続の際に,DTE_addressオペランドを指定していなければこのオペランドは指定できません。このオペランドを定義することで,INTAP V1.0形式の自局NSAPアドレスを自動生成します。

このオペランドを省略した場合,VC接続でのHNA2次局通信機能は使用できません。

また,OSI通信機能をVC接続で使用する際にはnetwork_idとNSAP_addressの両方を指定できますが,この場合にはX25_route文のNSAP_typeオペランドでどちらを使用するかを定義する必要があります。NSAPなしOSI通信機能を使用する場合,このオペランドを指定する必要があります。

ネットワーク識別子の値は,次の点を注意して設定してください。

(j) NSAP_address
INTAP V2.0新形式の自NSAPアドレス
~<16進数>((2~40の偶数けた)) 《指定しない》

VCプロトコルでかつ自局のNSAPアドレスをINTAP V2.0新形式,またはフリー形式で使用する時は指定してください。このオペランドは,N_addrと省略して指定することもできます。

NSAPなしOSI通信機能を使用する場合は,先頭2けたにはFAを指定しないでください。

(k) DTE_field {yes|no}

パケット網接続時にVCの発呼パケット中に,発呼DTEアドレスを付加するか,付加しないかを指定します。省略した場合はyesが仮定されます。

yes:
発呼DTEアドレスを付加します。
no:
発呼DTEアドレスを付加しません。
(l) X25_group_VASS
仮想スロット番号 ~<10進数>((1~900))《指定しない》

X.25グループVASS定義文で指定された仮想スロット番号を指定します。代表選択機能を使用するときに指定します。このオペランドは,X25_grp_Vと省略して指定することもできます。

line文のline_modeオペランドの指定値が80PVC,80VC,84VC,80VC_80PVC,または84VC_80PVCのときに指定できます。

(m) DXE {DTE|DCE}

X.25プロトコルのDTE-DCE接続のとき,DTEまたはDCEのどちらで動作するかを指定します。省略した場合はDTEが仮定されます。

DTE:
DTEとして動作します。
DCE:
DCEとして動作します。

このオペランドは,line_typeオペランドにprivate_PS,public_PS,またはISDN_TA_PSを指定し,line_modeオペランドに80VC,84VC,80PVC,80VC_80PVC,または84VC_80PVCを指定したline文の下のNL文に指定できます。

また,このオペランドでDCEを指定したNL文には,X25_group_VASSオペランドは指定できません。

このオプションを指定した場合,DTE側からデータリンクの確立と解放をするようになります。データリンクが確立されていない状態での発呼要求は,エラーとなります。自局からはリスタートパケットは送信しません。自局から発呼する場合,小さい番号から論理チャネルを割り当てます。同一論理チャネルで発着呼衝突が発生した場合は,受信したCNパケットを有効にして,CAパケットを返送します。パケット送信時の監視タイマを表2-22に示します。

表2-22 パケット送信時の監視タイマ

パケット種別特性(単位:秒)
DTEDCE
SQ180送信しません
CR200180
CQ18060
RQ18060
DT200監視しません
注意事項:
X.25 DCE機能を使用して,DCEとして動作している場合でも,CIパケット,RIパケットに設定する原因/診断コードは,DTEとして動作しているときと同一のコードを設定します。
(n) sub_address
サブアドレス ~<10進数>((1~8けた,先頭0以外))《指定しない》

line文のline_typeオペランドの指定値がISDN_TA_CSのときに指定できます。このオペランドは,s_addrと省略して指定することもできます。

サブアドレスはサブネットワーク内で割り当てられたアドレスを指定します。

このオペランドを使用する場合はsub_network_idオペランドを指定してください。

(o) sub_network_id
サブネットワーク識別子 ~<10進数>((1000~1999))《指定しない》

サブネットワーク識別子を指定します。このオペランドは,s_net_idと省略して指定することもできます。

line文のline_typeオペランドの指定値がISDN_TA_CSのときに指定できます。

このオペランドを使用する場合はsub_addressオペランドを指定してください。

(p) pass {coexist|NLI}

専用回線識別子を指定します。省略した場合はcoexistが仮定されます。

coexist:
通常回線として使用します。
NLI:
X.25パススルー専用回線として使用します。NLIを指定した場合,X.25パススルー以外の通信はできません。

(5) 接続形態とオペランドの対応

接続形態とオペランドの対応を表2-23表2-24表2-25に示します。

表2-23 各接続形態のNL文/オペランド対応(パケット交換サービスおよび一般専用サービスの場合)

定義文オペランドパケット交換サービス一般専用サービス
80PVC80/84VC84VC
V3 NSAPアドレス使用V1 NSAPアドレス使用NSAPアドレス無しV3 NSAPアドレス使用V1 NSAPアドレス使用NSAPアドレス無し
configurationmax_X25_VASS
max_X25_link
max_VC_network_connection
max_PVC_network_connection
NLX25_group_VASS
min_VC_LCGN
max_VC_LCGN
min_VC_LCN
max_VC_LCN
send_window_size
receive_window_size
DTE_address
DTE_field
network_id
sub_network_id
sub_address
NSAP_address
DTE_address2
pass
DXE
(凡例)
○:必須のオペランド
△:省略できるオペランド
-:指定できないオペランド
V1:INTAP V1.0形式のNSAPアドレス
V3:INTAP V2.0新形式のNSAPアドレスまたはフリーのNSAPアドレス

表2-24 各接続形態のNL文/オペランド対応(ISDN_TA(パケット交換)サービスの場合)

定義文オペランドISDN_TAサービス(パケット交換)
80PVC80/84VC
V3 NSAPアドレス使用V1 NSAPアドレス使用NSAPアドレス無し
configurationmax_X25_VASS
max_X25_link
max_VC_network_connection
max_PVC_network_connection
NLX25_group_VASS
min_VC_LCGN
max_VC_LCGN
min_VC_LCN
max_VC_LCN
send_window_size
receive_window_size
DTE_address
DTE_field
network_id
sub_address
sub_network_id
NSAP_address
DTE_address2
pass
DXE
(凡例)
○:必須のオペランド
△:省略できるオペランド
-:指定できないオペランド
V1:INTAP V1.0形式のNSAPアドレス
V3:INTAP V2.0新形式のNSAPアドレスまたはフリーのNSAPアドレス

表2-25 各接続形態のNL文/オペランド対応表(ISDN_TA(回線交換)サービスの場合)

定義文オペランドISDN_TAサービス(回線交換)
84VC
V3 NSAPアドレス使用V1 NSAPアドレス使用NSAPアドレス無し
configurationmax_X25_VASS
max_X25_link
max_VC_network_connection
max_PVC_network_connection
NLX25_group_VASS
min_VC_LCGN
max_VC_LCGN
min_VC_LCN
max_VC_LCN
send_window_size
receive_window_size
DTE_address
DTE_field
network_id
NSAP_address
sub_address
sub_network_id
pass
DTE_address2
DXE
(凡例)
○:必須のオペランド
△:省略できるオペランド
-:指定できないオペランド
V1:INTAP V1.0形式のNSAPアドレス
V3:INTAP V2.0新形式のNSAPアドレスまたはフリーのNSAPアドレス