3.4.5 ロウ論理ボリュームの作成

金融機関で使用する通信サーバのボリュームには,HiRDB用,OpenTP1用,共通ソフトウェア用,通信サーバBase用,通信サーバfor Bank用があります。ここでは通信サーバfor Bankに必要な論理ボリュームの作成方法について説明します。

通信サーバfor Bankを構築する場合は,オンライン状態格納ファイルと仕向処理通番ファイルが必要です。これらのファイルは,それぞれオンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリューム仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリュームとして作成します。

オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリュームには,通信サーバfor Bankの開閉局状態の最新情報を保持します。仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリュームには,最新の仕向処理通番を保持します。これによって,障害が発生した場合,通信サーバfor Bankを障害発生前の状態に回復させることができます。

ここでは,ロウ論理ボリュームの作成手順およびロウ論理ボリューム名の設定について説明します。ロウ論理ボリュームは通信サーバの起動前までに作成してください。また,ロウ論理ボリュームは,HA構成の現用系,予備系間で引き継がれる必要があるため,共有ディスク上に作成してください。共有ディスクについては,マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ」を参照してください。

注意
オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリュームと仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリュームを一つのロウ論理ボリュームとして作成することはできません。必ず異なるロウ論理ボリュームとして作成してください。また,通信サーバBaseで使用する論理ボリュームは,通信サーバfor Bankでは使用できません。
なお,通信サーバfor Bank単独でのHA構成で,通信サーバBaseも切り替えの対象とする場合は,通信サーバBaseで使用する論理ボリュームも共有ディスク上に作成する必要があります。通信サーバfor Bank単独でのHA構成については,「2.3 HA構成の形態」を参照してください。
<この項の構成>
(1) 作成手順
(2) ロウ論理ボリューム名の設定

(1) 作成手順

通信サーバfor Bankを構築する場合は,オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリュームと仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリュームの二つが必要です。それぞれのロウ論理ボリュームに対して,次の手順を実行してください。

  1. ロウ論理ボリュームを作成する
    ロウ論理ボリュームを作成するには,次のコマンドを実行してください。この操作はスーパーユーザーで実行してください。

    # mklv -y ロウ論理ボリューム名 ボリュームグループ名 物理区画数

    • ロウ論理ボリューム名およびボリュームグループ名
      このコマンドはAIX 5Lのコマンドなので,AIX 5Lの仕様に従って指定してください。なお,ボリュームグループには,OpenTP1が使用するボリュームグループと同じものを指定してください。ここで指定するボリュームグループは,共有ディスク上にある必要があります。
    • 物理区画数
      1を指定してください。
    このコマンドを実行すると,二つのファイルが作成されます。二つのファイルのうち,ファイル名の先頭に「r」が付加されたファイルを使用します。
  2. ロウ論理ボリュームの属性を変更する
    ファイル名の先頭に「r」が付加されたロウ論理ボリュームの属性を,通信サーバ管理者がアクセスできるように変更します。ロウ論理ボリュームの所有者を通信サーバ管理者に設定してください。また,通信サーバ管理者および通信サーバ管理者のグループに,読み取りおよび書き込みできる権限を設定してください。
注意
  • ロウ論理ボリュームは「/dev」の下に作成されますが,これらのファイルはmvコマンド,rmコマンドなどで直接操作しないでください。
  • ロウ論理ボリュームを変更した場合は,通信サーバシステム定義の「RAW_NAME_TUBANBK」および「RAW_NAME_SRVCND」の定義値を変更し,ファイル初期化コマンド(hmpnrawinit)を実行する必要があります。
    通信サーバシステム定義については,「4.3 通信サーバシステム定義」を参照してください。また,ファイル初期化コマンドについては,「10.3 コマンドの詳細 hmpnrawinit(ファイル初期化)」を参照してください。

(2) ロウ論理ボリューム名の設定

オンライン状態格納ファイル用ロウ論理ボリューム,および仕向処理通番ファイル用ロウ論理ボリュームには,異なるロウ論理ボリューム名を指定してください。また,通信サーバBaseで使用するロウ論理ボリューム名は指定できません。

ロウ論理ボリューム名は通信サーバシステム定義で使用します。通信サーバシステム定義については,「4.3 通信サーバシステム定義」を参照してください。